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「地球にやさしい高分子」

ゲスト:佐藤春実さん(関西学院大学 理工学部 環境調和型高分子研究センター博士研究員)
場所:にしむら珈琲 御影店 3階 フレンドサロン
2006年4月15日

春雨が降り出しそうなお天気の中、会場は定員の参加者でいっぱいになりました。

関西学院大学 理工学部 化学科、環境調和型高分子研究センター 博士研究員の佐藤春実さんが、まず、地球にやさしい「生分解性プラスチック」とは何か、なぜ地球にやさしいと言えるのか、また具体的に今どんなものがどん なところで実用化・使用されているか、梱包クッション材や食品ラップフィルム用の刃など、実物も交えてお話して下さいました。

休憩を挟んで、ひきつづき、生分解性プラスチック製造方法と工程、シェアとコスト、構造と分解過程とその条件、課題などについて詳しくお話下さいました。

自由な語り合いの時間には、「微生物がプラスチックを食べることができる条件は何か?」「回収処理の現状はどうなっているか?」「C、H、O以外 の元素は含まれないのか?」「添加物や助剤は使っていないのか」「庭に埋めたら、植物の栄養になりますか?」などの質問が飛び交いました。また、「飼料に して家畜に食べさせるというような処理法も考えられるのでは?」などのご意見もありました。プラスチック分別回収に関連して、PETボトルの口・本体・ラ ベルで使われているプラスチックは、それぞれに求められている機能が違うので一緒にできない現状がある、消費者が何を求めるかも問題であるなど、話題は、 非生分解性プラスチックにも及びました。

また今回は、神戸大学 発達科学部 音楽コースの4年生 杉原彰恵さんが、カフェが始まるまでと休憩中に、美しいピアノの調べをお聴かせ下さいました。 


企画者より

生分解性プラスチックは、おなじみの食品トレイ以外にも、外壁建材や家電製品、釣糸など、思いのほか多様な分野で使われていることがわかりまし た。しかし、熱に弱いという機能的な限界などもあり、現状シェアは10%未満、コストは百均製品に使用されるプラスチックの5倍だそうです。回収について も、うまくシステムを作らないと、せっかくの生分解性が活かされず、焼却処分に。

帰宅後、子どもが買ったお菓子のプラスチック製ケースを見て、ここまでプラスチックを使わなければならないものだろうか?と疑問を覚えました。消 費者もプラスチック製品の使い方を見直して、うまく整理していったら、生分解性プラスチックのシェアが上がってコストが下がり、地球にもっとやさしくなれ るような気がします。

今回は、門外漢が、専門家・研究者の方と近い距離で語り合いたいと考えて企画・実施をいたしました。いろいろなテーマへの入り口が提供され、専門 の方々もそうでない方々も気楽に話し合え、各人が持ち帰るものも様々であってよい、このような機会が増えていくと面白いと思います。


参考文献

生分解性プラスチックについて:
生分解性プラスチック研究会 編著(2004)『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい生分解性プラスチックの本』日刊工業新聞社
佐藤春実さんのご研究に関連して:
佐藤春実 尾崎幸洋(2005)「C H…O水素結合 注目される"弱い相互作用"の役割」『現代化学』(2005年5月号)pp.24-31. 東京化学同人