本ウェブサイトは2012年4月下旬をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです。今後は,移設先のサイト(2012年4月下旬より有効)をご覧下さい。[2012年4月]

「数学とテクノロジー」

ゲスト:高橋 正さん(神戸大学発達科学部)
場所:カフェ「び-あん」
2005年12月06日

数学とテクノロジーというテーマは非常に幅が広いため,まずはじめに高 橋正さんから日本で最も良く使われている数式処理ソフトMathematicaを使っ てのNKS(A New Kind Science)の紹介が行われました.NKSは,Stephen Wolframが近年に執筆した書籍で,単純な規則の繰り返しで生成される図形や 自己相似図形(フラクタル)などが多数紹介されており,世の中の大半の事 象が単純な規則に基づいて生成されているのかもしれない,ということを実 感できる構成になっています.同書籍は英語版でありますがウェブサイト (http://www.wolframscience.com/nksonline/)で読むことができます(無 料).

高橋正さんからの,NKSの紹介を通して,数学といえど例外ではなく,テク ノロジーが進歩する前には出来なかったことが,近年のコンピュータの進歩 によって出来るようになってきている,という話に対して,複数の意見や質 問が出ました.その中からひとつを取り上げたいと思います.

・フラクタルによる樹木状の図形は,実際の植物の多様性から考えると単 純すぎて,例えば,太陽の方向に葉が向いているとか,といった植物な らば当たり前のような性質が反映されていないのではないか.

この質問に関しては,総じて見ると樹木になっている,個々の植生に合わ せたモデルを作れば良い,実際の植物の細かいディテールも多数の単純な規 則の組合わせかもしれない,などの意見が出て,活発な議論になりました. 他にも,数学に関する純粋な質問として,「群ってなんでしょうか?」など や数学教育に関する議論なども行われました.