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「一坪田んぼが目差す風景」

ゲスト: 赤尾 整志 さん(NPO自然環境復元協会理事)
大仲 政憲 さん(大阪教育大学)
日 時: 2008年11月15日(日)14時から16時00分
場 所: 旧乾邸
開催の記録
ポスター(600kB, PDF)


 今回は、一坪田んぼを小学校に広める活動をされている、NPO法人自然環境復元協会・全国学校ビオトープ・ネットワーク研究会の赤尾整志さんと、小学校における稲栽培活動について研究されている、大阪教育大学の大仲政憲さんにお話していただきました。一坪田んぼとは、わずか2畳分の田んぼで、木材で囲いをつくり、遮水シートを敷き、土をいれ水をはって稲を育てるのです。

 神戸市内の小中学校では、阪神淡路大震災後に、子どもたちへの情操・環境教育の一環としてビオトープづくりが広がり、その数は国内一となりました。ビオトープに集まる生きものたちを通して、子どもたちが自然と触れ合い、自然のしくみを理解することに大きな役割を果たしましたが、その管理は現場の先生には負担が大きく、今となっては遷移が進んで荒れてしまった例も数多くあります。これに対し、一坪田んぼは手入れが簡便であるうえに、ビオトープほど多様な生物相は見られませんが、かつては子どもたちの身近にいた生きものが集まってきます。さらに子どもたちの日常生活の場で稲を育て米を収穫することによって、食育の効果も多きいことが特徴です。

 複雑な生態系を理解し学ぶ上では、これまで多くつくられてきたトンボ池型のビオトープは有効ですが、一坪たんぼには、もうひとつの違った効果が期待できることが今回のお話でわかりました。自然環境と隔離された場所で過ごすことの多い現在の子どもたちにとって、学校の一坪たんぼが、ふる里の自然や生きものの世界に触れる入り口となることを、赤尾さんと大仲さんは期待されています。
(文:サイエンスカフェ神戸)