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「伊能忠敬の地図を科学する」

ゲスト:大西 道― さん (工学博士)
場 所:白雪ブルワリービレッジ長寿蔵
開催日:2009年9月27日
開催案内文の記録

サイエンスカフェ伊丹のHP

江戸時代、家業の造り酒屋で築いた私財を投じ
日本全土を測量した、伊能忠敬
北極星の高度緯度を測り、海岸線を歩いて割り出した平面距離から
日本地図を作り上げた忠敬の測量法を科学的に解き明かす
みなさまどうぞお気軽にご参加ください。
当日の様子

 今回のサイエンスカフェではゲストの大西さんから、地図を作 るための器具、伊能忠敬が作った地図の複製版(伊能大図総覧 )など、お話以外にも多くの実物を見せてもらうことができま した。お話が始まる前から参加者の皆さんはその器具に興味津津で、 大西さんを捕まえては使い方などの説明を受けていました。

 お話のはじめに全国測量の素地になった伊能忠敬の生い立ちに ついてのお話がありました。 その後、伊能忠敬が測量に使った3つの測量方法(道線法、交 会法、緯度測定法)についてそれぞれお話されました。 その間に伊能忠敬が使った器具の説明や、どのように使うのか を身振り手振りで教えてもらいました。 休憩時間にはおいしいケーキや飲み物をいただきながら、前半 のお話について質問の受け答えがありました。 ケーキを食べ終えた後は、伊能大図総覧を開いて伊丹の場所を さがしたり、測量器具を使ったりしました。

 お話の後半では、間宮海峡を発見した間宮林蔵と伊能忠敬との 関係、間宮が伊能大図にどのように寄与したか等、また伊能死 去後に起こったシーボルト事件とその後等々のお話があった。 また伊能忠敬が海岸線を測るのに遠方の山や南中する星の高度 から得た緯度を用いたが、経度の測定が不正確であったので地 図の中で正確な部分、不正確な部分が生じたと言う説明があり ました。その後、伊能忠敬以後の測量法の進歩変遷として、全 国三角網による方法→三辺距離測定法→航空写真測量法→人工 衛星によるGPSシステム等の話がありました。 最後は、現在の携帯GPSなどの進歩した測量技術を使い、伊能 忠敬がどれほど正確な地図を作ったのか実際歩いて確かめたい という大西さんの野望(?)で締めくくられました。

(文・赤松大地)